生物環境調節
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ユスラウメ台モモ樹の生育と果実品質に及ぼす培養液濃度の影響
岡本 五郎藤井 雄一郎島村 和夫
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1989 年 27 巻 3 号 p. 83-87

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抄録

ユスラウメ台のモモ‘山陽水蜜’を砂耕し, 生育初期の培養液濃度を高め, あるいは成熟期の濃度を下げた場合の樹体と果実の反応を調査し, 共台と比較した.
1) 開花期から硬核初期まで, 培養液濃度を標準 (N: 40ppm) の4倍にすると, いずれの台木でも標準濃度区に比べて新梢伸長が旺盛になり, 葉のクロロフィルと果実のN濃度が高くなった.果実の収穫は約1週間遅れ, 大果であったが, 糖および酸含量は低かった.
2) この高濃度培養液を開花1ヵ月前から与えると, 新梢や新根の生長が抑えられ, 果実の成熟はさらに不良であった.その影響はユスラウメ台でとくに著しかった.
3) 硬核初期あるいは成熟初期から培養液濃度を1/4倍に下げると, 両台木とも2週間後には新梢の伸長が停止し, 収穫期が約5日早まった.果実は標準区より小さかったが, 糖含量は高かった.この傾向はユスラウメ台でとくに顕著であった.

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