生物環境調節
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土壌貫入抵抗値の分布パターンと陸稲の根の肥大生長との間の相互関係
飯嶋 盛雄河野 恭広巽 二郎
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1990 年 28 巻 2 号 p. 53-60

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抄録

土壌容積重, 1.33g/cm3 (対照区) および1.50g/cm3 (圧縮区) に調整した根箱 (幅24×厚さ2×深さ40cm) を用い, 土壌の貫入抵抗値の垂直方向 (根箱内土壌深度) の推移と, これらの根箱で生育させ, ピンボード法で採取した2週齢の陸稲根系の肥大生長との相互関係を検討した.土壌の充填方法に起因する層界面の存在による貫入抵抗値のピークが, 根箱の全層にわたって数ヵ所に出現した.この貫入抵抗値の垂直パターンは, 圧縮区においては種子根軸に沿った各根系構成要素 (種子根・1次側根) の根径の変動パターンとよく一致した.このことは, 根箱内土壌の貫入抵抗値の推移のパターンは, 根端がより高い機械的抵抗に遭遇したときの根系の肥大生長の履歴として根軸に記録されたことを示すものである.本実験の結果は, 根系-土壌間の相互作用の研究において, 土壌の機械的抵抗の分布パターンにも留意する必要性を示唆した.

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