抄録
スイカ果実の品質は, 甘味, 外観, 果肉色, 肉質等によって決定される.とくに甘味はスイカ果実の品質を決定する最も重要な要因と考えられる.そこで, ここではまず初めに甘味, すなわち糖について果実中に含まれる種類を調べ, さらにそれぞれの含量の果実発育に伴う果実中の部位別変化, さらには収穫後の変化について調べた.
スイカ果実には果糖, ブドウ糖, ショ糖の3種類の糖が含まれていた.果実発育に伴う糖含量の変化についてみると, 果糖, ブドウ糖は果実発育のごく初期から存在し, その含量は交配後30~40日目に最高となり, その後減少した.果実中における部位別の糖含量についてみると, 果糖, ブドウ糖どちらもいずれの発育段階でも果実の中央部よりやや外側の種子付近の部位で高かった.ショ糖もまず種子付近の部位に現われはじめ, その後もこの部位での含量の増大が著しかった.収穫後の果実では, 果糖, ブドウ糖含量は急激に減少したが, ショ糖含量は収穫時にくらべ収穫後日数がたつと増大した.
このように, スイカの果実発育に伴う果実中の糖の種類およびそれらの含量の部位別変化ならびに収穫後の変化が明らかとなった.なお, 果実発育後期および収穫後における果糖, ブドウ糖含量の減少, ショ糖含量の増大の原因についても考察した.