抄録
トマト「大型瑞光」を標準濃度 (EC1.4→2.0dS/m) とその1/4濃度 (EC0.7→0.9dS/m) の培養液 (山崎トマト処方培養液; 定植後7週からはそれぞれ1.5倍とした) で栽培した.低濃度区は養分供給の不足を防ぐため毎日ECを調整した.処理後6週から実験終了時まで, 低濃度区は葉と茎の乾物重, CGRならびにLAIの減少が認められた.根の乾物重, 総果数および初期収量において, 培養液濃度間の差はなかったが, 総果実収量は低濃度区が標準濃度区にくらべ32%も低下した.処理後6週から12週の間で, NARならびに果実の乾物分配率は低濃度区で高かったが, 処理後15週では慓準濃度区より低かった.培養液濃度は葉中P, CaならびにMg濃度には影響を与えなかったが, 生育末期の葉中N, K濃度は低濃度区が標準濃度区より著しく減少した.トマトの水耕栽培においては, 摘心後NならびにKの十分な追肥を行えば, 低濃度 (EC0.7-0.9dS/m) 培養液によって果実収量を減少させずに水耕トマトの栄養生長をコントロールできることを示した.