生物環境調節
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ミヤコワスレの花芽発達段階における高温期間がアボーションの発生に及ぼす影響
重岡 廣男大河内 信夫
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1993 年 31 巻 1 号 p. 7-12

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抄録

本研究に, ミヤコワネレ‘高性濃紫色種’の異なった花芽発達段階において, 高温処理 (10時から15時の5時間を, 30~35℃の温度で保った.) を5, 10, 20日行い, 頂生花に発生したアボーション発生率と高温処理期間との関係を検討した.
処理を行った花芽発達段階は次の8段階とした.1) 小花形成前期, 2) 小花形成中期, 3) 花弁形成前期, 4) 花弁形成中期, 5) 花弁形成後期, 6) 花弁完成期, 7) 出らい期, 8) 出らい7~10日後.
ブラインド型発生率は, 小花形成前期から花弁形成中期の20日間処理で高く, その発生率は70%から100%であった.また, 1小花形成前期から花弁形成前期の発達段階では, 5日間処理でも60%から85%の発生がみられた.なお, ブラインド型は花弁完成期以後の段階ではいずれの処理期間でも発生がみられなかった.
管状花ネクロシス型は, 花弁形成後期の10日と20日間処理および花弁完成期の20日間処理で10%発生した.
管状花一部ネクロシス型は, 花弁形成後期から出らい期にかけての発達段階で発生し, とくに花弁完成期の10日および20日間処理で発生率が高かった., なお, これらの処理期間においても, 管状花一部ネクロシス型は出らい7日から10日後の発達段階では発生しなかった.
本研究の遂行にあたり, ご指導とこ校閲を賜った東京農業大学農学部教授樋口春三博士に厚く御礼を申し上げます.また, 論文のとりまとめにあたり, ご助言とこ校閲をいただいた静岡大学農学部教授石田明博士ならびに同助教授糠谷明博士に深謝の意を表します.

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