生物環境調節
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ミヤコワスレの花芽発達段階における高温と遮光がアボーション発生に及ぼす影響
重岡 廣男大河内 信夫
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1993 年 31 巻 1 号 p. 13-19

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抄録
本研究は, ミヤコワスレ‘高性濃紫色種’の種々の花芽発達段階における高温 (10時から15時までの5時間を30~35℃) と遮光 (黒色寒冷しゃ2枚被覆) との組み合せ処理期間がアボーション発生に及ぼす影響を調査した.処理期間は, 高温, 遮光とも0, 5, 10, 15日間の4段階で, 8期の各花芽発達段階にそれぞれ16処理区を設けた.
アボーションは, 小花形成前期から出らい期にかけての発達段階で発生し, 出らい7~10日後の花らいには発生しなかった.アボーション発生率は, 高温と遮光との処理期間が長くなるにつれて高くなった.また, 発生率は花芽発達段階が進むにつれて, 低下する傾向にあった.ブラインド型は, 小花形成前期から花弁形成中期の発達段階で多発し, その発生率は, 高温と遮光の処理期間が長くなるにつれて高くなった.管状花ネクロシス型は, 花弁形成後期と花弁完成期の発達段階で発生し, 発生率は高温と遮光の15日間の処理区で最も高かった.管状花一部ネクロシス型は, 花弁形成後期から出らい期にかけての発達段階で発生し, とくに花弁完成期で発生が多かった.その発生率は, 高温と遮光の処理期間が長くなるにつれて高くなったが, 高温遭遇のない遮光処理ではまったく発生しなかった.
本研究の遂行にあたり, ご指導および論文のこ校閲を賜った東京農業大学農学部教授樋口春三博士に厚く御礼を申し上げます.また, 論文のとりまとめにあたり, ご助言とこ校閲をいただいた静岡大学農学部教授石田明博士, 同助教授糠谷明博士, 同助教授高木敏彦博士ならびに図の作成にあたりご指導をいただいた, 静岡大学教育学部教授望月雄蔵博士に厚く謝意を表します.
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© 日本生物環境工学会
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