生物環境調節
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イネの生長と収量に及ぼす大気中CO2濃度, リン栄養および夜温の影響
今井 勝足立 修士モス D.N.
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1994 年 32 巻 1 号 p. 53-60

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抄録
人工光グロースキャビネットを用い, 昼/夜温28/23℃のもとで, イネに高・低濃度のリン (300, 3μM) を含む培養液を与えて土耕した.葉齢が10に達したとき, 他の処理を開始し, 出穂40日後の成熟期までCO2濃度を350, 700μmol mol-1, 夜温を23, 28℃とした.28/23℃下で高リン濃度は出穂を2~3日, 高CO2濃度は1日早めた.稈・穂の長さは高リン濃度下で促進されたが, 高CO2濃度の影響は受けず, 穂数は両者により促進された.高CO2濃度下で, 穂重は高, 低リン濃度により40, 20%促進されたが, 収穫指数は両者とも約0.5であった.28/28℃一高CO2区では, 出穂が3~4日促進され, 植物体重は28/23℃-高CO2区とほぼ同じであったが, 収穫指数が0.4以下であった.これは乾物が栄養器官, とくに根へ優先的に分配されたためである.高CO2濃度下ではリン栄養はイネの収量増加に重要な意味をもつ.予測される将来の気候条件下では, 光合成産物の分配を制御する適切な栄養管理が必要となろう.
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© 日本生物環境工学会
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