生物環境調節
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培養液濃度と培養液中のNH4-N比がイチゴの生育・収量および生理的特性に及ぼす影響
塚越 覚伊東 正篠原 温
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1994 年 32 巻 1 号 p. 61-66

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抄録

培養液濃度と培養液中の全窒素に対するNH4-N比が, イチゴ‘女峰’の生育, 収量および生理的特性に及ぼす影響を調査した.処理は培養液濃度2水準 (EC0.9, 1.7mS/cm) と全Nに対するNH4-N比3水準 (10%, 20%, 30%) を組み合わせ, 計6区とした.
生体重は低濃度区では30%区で, 高濃度区では20%区で高かった.全収量は低濃度-30%区が最も高かった.腋果房開花期の根への13C-光合成産物の分配率は高濃度区で, 低濃度区に比べて低下した.低濃度区ではNH4-N30%で, 頂果房への分配率が低下し, 腋果房への分配率が増加した.C-N比は低濃度区の30%区および高濃度区の20%, 30%区で低下した.根のカリウム含有率は, 高濃度区あるいはNH4-N比が高い区で増加した.根のエスキュリン酸化速度は, NH4-N比の増加に伴い高くなった.
以上の結果から, 培養液を低濃度管理し, NH4-N比を全窒素の30%とすることで, 生育促進, 収量増加が認められた.これは, 根への光合成産物の分配, 根のリン, カリウム含有率および呼吸速度の増大によると考えられた.

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© 日本生物環境工学会
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