抄録
マングローブの一種Avicennia mavinaは, 直立気根が発達している.気根は汽水域の嫌気性塩性土壌から空気中に直立し, 酸素を空気中から皮目と気道を通して交換し, 根の呼吸に役立たせている.最近, 気根の表層の近くに緑色のうすい組織が存在し, この組織で光合成反応が行われ, 反応により生成された酸素が根の呼吸に利用されていることが明らかにされている.
筆者らは, 気根表層組織の葉緑体のグラナスタックは高密度で存在し, その葉緑素あたりの光合成活性は弱光条件 (210, ccmolm-2s-1) 下で葉組織のそれに比較し高いことを明らかにした.