抄録
チェリモヤ (Annona cherimola Mill.) , バンレイシ (A.squamosa L.) , トゲバンレイシ (A.muricata L.) において, 約2か月齢の鉢植え実生樹を100%, 45%, 25%, 5%自然光下で栽培し, 光量がそれらの生育と光合成におよぼす影響を明らかにしようとした.すべての種において, 新梢長および全乾物重は25%自然光下で減少し, 45%と100%自然光下との間では差がなかった.バンレイシとトゲバンレイシでは45%自然光下で葉面積が増加し, チェリモヤとトゲバンレイシでは25%自然光下でそれが減少する傾向がみられた.葉面積指数はいずれの種においても光量が低下するにつれて増加したが, その増加の程度はチェリモヤにおいて最も少なかった.葉は光量の低下とともに薄くなり, 比葉重も減少した.バンレイシとトゲバンレイシでは, 100%および45%に比べ25%自然光下でクロロフィル含量が減少し, 光合成速度も低下した.しかしながら, チェリモヤはこれらの光量下ではクロロフィルおよび光合成速度がほとんど変化せず, 他の2種に比べて弱光に対する適応能力がすぐれていると思われた.また, どの種においても弱光条件下では気孔コンダクタンスが増加した.5%自然光下では, 全乾物重は100%自然光下のものに比べ約90%以下にまで減少し, 光合成速度は補償点近くまで低下した.