抄録
イチジク‘マスイドーフィン’の鉢植え挿し木個体を20/15℃または30/25℃ (昼/夜) とした制御温室内に置き, 毎年新梢伸長開始期から, それぞれに半数に50mMNaClを12週間かん水して3年間の生育を調査した.
本実験でイチジクは新梢伸長から果実の形成を行い休眠に至るまで, 約32週間を1周期として生育した.温度やNaClは発育の周期に影響を与えなかった.
30/25℃区個体は樹体の生長量に年次変動が大きく, 花芽形成や収穫果実数が少なかった.一方, 20/15℃区では樹体生長は比較的安定しており, 果実数も多かった.NaCl処理によって両温度区とも生育は抑制されたが, 1年目と2年目には花芽分化が促進された.また, 20/15℃区ではNaCl処理によって果実糖度がやや高まる傾向が見られた.
このことから, より低濃度のNaClを処理することによって樹体の強勢化を抑え, 着果を促進し, また高糖度果実を生産することが可能と思われた.