生物環境調節
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単色的光源の混合光下で育成したインゲンマメに及ぼす青色光と赤色光の影響
羽生 広道庄子 和博
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2000 年 38 巻 1 号 p. 13-24

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抄録
青色光と赤色光のレベルの異なる幅広いスペクトル光の下でインゲンマメを12日間育成した.4種類の単色的蛍光ランプを用いて, 等しい光合成有効光量子束密度 (100μmol m-2s-1) およびR: FR比 (1.1) の下で, 青色光と赤色光を増やした.青色光と赤色光が増加すると, ともに全乾物量が増加したが, 乾物分配への影響は全く異なった.青色光を増やすと, 葉面積への影響は認められず, 茎長は大きく減少した.これに対して赤色光を増やすと, 葉面積が増加し茎長も小さいが一貫して増加した.このことは, 全乾物量の増加は青色光が増加した場合には単位葉面積当たり乾物生産の増加によるが, 赤色光が増加した場合には葉面積の増加によることを示唆する.以上の結果は, R: FR比によって起こる生長応答に加えて, 青色光の増加が大きな茎の伸長抑制と葉厚の増加を引き起こし, R: FR比が一定での赤色光の増加が葉厚を変えることなく葉の伸張と茎の伸長の両方を促進することを示している.
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© 日本生物環境工学会
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