抄録
本論では, 寒天とゲランガムをゲル化剤としたゲルの透水係数と拡散係数について検討した.
透水係数は, 測定濃度の範囲 (寒天0.5~3.0wt%, ゲランガム0.1~1.0wt%) において寒天, ゲランガムともに濃度増加にしたがって10-5~10-7の範囲で減少した.得られた透水係数から算出した各ゲルの間隙直径はゲル化剤濃度の増加に伴って減少し, 通常濃度では, 寒天で764nm, ゲランガムで1, 050nm程度となった.また, 寒天濃度1%で算出した間隙直径は, 同一濃度の電子顕微鏡写真による実際の間隙直径とほぼ等しく, 算出値の妥当性が裏付けられた.
溶質の拡散係数は, ゲル化剤濃度の増加にそれほど左右されず,
水中での値に近いことがわかった.しかし, 電解質や巨大分子の場合には, ゲル化剤濃度の増加に伴って水中での拡散係数よりも低下すると推定された.
今後は実際の培養実験による生長量の測定データと本報で得られた知見からゲル培地中の物質移動についての検討を行う予定である.