生物環境調節
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低窒素下で発育したイネ葉身における吸収窒素の葉緑体, 可溶性タンパク質およびRubiscoへの分配
アミン S.M.ヌルル内田 直次増本 千都畠中 知子津川 兵衛
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2002 年 40 巻 2 号 p. 201-206

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抄録

イネにおける窒素利用効率の向上の基礎として, 葉に吸収された窒素が葉緑体, 可溶性タンパク質およびRubiscoの各画分にどのように配分されるかを, 2段階の窒素肥料条件で栽培したインド型イネ8品種について調べた.葉に吸収された全窒素の葉緑体への分配率は78~84%で, この割合に対する窒素供給量の影響はないが, 品種による違いがあった.可溶性タンパク質とRubiscoの含量は葉の窒素含量に比例して増加した.葉身窒素に対する可溶性タンパク質窒素の比率には有意な品種間差異があり, 標準窒素区で59~75%, 低窒素区では43~61%であった.葉の全窒素に対するRubisco窒素の比率は, 標準窒素区では24~45%の範囲であり, 低窒素区では極めて少ない8.3%の品種から27%を超える品種まであった.各窒素画分の中で, Rubiscoへの窒素の分配率が最も低窒素条件の影響を大きく受けた.以上の結果と前報の結果とを比較しつつ, イネの窒素利用効率を考察した.

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© 日本生物環境工学会
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