生物環境調節
Online ISSN : 2185-1018
Print ISSN : 0582-4087
ISSN-L : 0582-4087
異なる栽植密度条件下における遮光処理がジャガイモの乾物生産, 収量および硝酸還元酵素活性に及ぼす影響
ゴシュ S. C.浅沼 興一郎楠谷 彰人豊田 正範
著者情報
ジャーナル フリー

2002 年 40 巻 3 号 p. 259-268

詳細
抄録
2段階の栽植密度条件でジャガイモ2品種 (メークイン, デジマ) を栽培し, 生育時期別に遮光処理が生育, 収量および硝酸還元酵素 (NR) 活性に及ぼす影響について検討した.遮光処理は無処理 (100%, C区) , 弱遮光 (48%遮光, S1区) , および強遮光 (76%遮光, S2区) として寒冷紗を用いて行った.生育時期を三つの時段階 (1期: 萌芽から塊茎形成期, II期: 塊茎形成期から塊茎発達期, III期: 塊茎発達期から成熟期) に区分し, それぞれのステージに遮光処理を行った.すべての遮光処理区, および密植区で草丈は高くなり, 葉面積指数は密植区で増加した.初期の遮光区では塊茎形成期が遅延した.遮光程度が強くなるほど乾物生産, 上イモ収量および全塊茎重が低下した.収量の低下程度はII期のS2区で最大 (41%) , III期のSl区で最小 (15%) であった.品種, 栽植密度, 全生育段階を含めた平均値でみると, C区に比べ, 弱遮光区で19%, 強遮光区で30%の減収となった.葉のNR活性は遮光処理区で抑制され, C区に比べ, 平均値で弱遮光区は16%, 強遮光区は25%低下した.両処理条件での光強度に対する収量およびNR活性の減少係数はそれぞれ0.40, 0.33であった.以上の結果は光強度の低下が収量およびNR活性の低下と直接関連していることを示唆している.本研究より, II期が塊茎収量に対する光の影響の最も大きな時期であり, NR活性および収量低下に直接関連しているものと結論した.
著者関連情報
© 日本生物環境工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top