生物環境調節
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異なる土壤窒素条件下で栽培した温度感受性雄性不稔系統由来のF1雑種イネにおける光合成, 乾物生産および子実収量のヘテロシス
ファン ヴァン コン村山 盛一川満 芳信
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2003 年 41 巻 4 号 p. 335-345

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抄録

本研究は, 異なる窒素環境条件下 (0.22, 0.44, 0.88g plant-1) で栽培した温度感受性雄性不稔系統 (TGMS) との交雑で作出したF1雑種イネの光合成, 乾物生産, 子実生産におけるヘテロシスについて調べた.光合成速度ならびに光合成関連形質, SPAD値, 葉身窒素含量, 可溶性タンパク含量およびRubisco活性は全親系統およびF1雑種イネにおいて高窒素施肥区で高くなった.親系統およびF1雑種イネとも窒素の施肥量が増大すると形態的形質, 分けつ, 葉面積, 根重, 乾物生産, および株当たりの子実生産量が高くなった.低窒素下では, F1雑種イネは光合成関連形質におけるヘテロシスは小さく, 一.方, 高窒素下では葉の窒素含量および光合成要因が良好であったため, 雄親や両親, 中間親に対して光合成速度に関して正のヘテロシスが認められた.F1雑種イネは, 窒素環境にかかわらず, 乾物生産, 株当たりの穂数, 1穂当たりの頴果数, および株当たりの穂重にヘテロシスが認められた.高窒素条件下における子実生産の高いヘテロシスの発現には, 主に稔実粒数におけるヘテロシスの関与が大きかった.

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© 日本生物環境工学会
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