抄録
インゲンマメ (Phaseolus vulgaris L.cv.Yamashiro Kuro Sando) の老化初生葉における本葉切除による純光合成速度の回復に及ぼす3種の環境要因の影響を調べた.温度の影響については, 23/18℃, 25/20℃, 28/23℃ (昼温/夜温) の条件で調べたが, 25℃における純光合成速度の回復に及ぼす明確な影響は認められなかった.光強度の影響は, 初生葉を1~3枚の黒寒冷紗で覆うことにより調べた.遮光の程度が高まるにつれて, 純光合成速度の回復は, 葉面積当たりで表現した場合低下したが, 葉重当たりで表現した場合には遮光の影響は認められなかった.遮光により葉の面積は拡大し厚さは減少したことから, 光強度の影響は葉の形態に及ぼす影響が大きいことが考えられた.窒素施用濃度の影響は, 異なる濃度の窒素を含む液肥を時期を変えて施用して調べた.その結果, 窒素施用濃度は本葉切除後の初生葉の光合成回復に大きな影響を及ぼす要因であることが明らかになった.