抄録
イチゴ (Fragaria×ananassa, Duch., cv.濃姫) のランナーにarbuscular菌根菌5菌種 (Gigaspora margarita, Glomus fasciculatum, Gl. mosseae, Gl. sp. R10, Gl. aggregatum) を接種し, 夏季育苗において発生する高温ストレス障害への耐性評価を行った.夏季育苗期 (2002年7~8月) における温室内気温および育苗培地温度はほぼ同様に変動し, 日中の最高気温が35℃を越える日が多かった.菌根菌接種10週間後, 高温ストレスによる葉および根における褐変症状の発生率並びに発生程度は接種区で無接種区より軽減し, その効果には菌種間差がみられた.特に軽減効果が高かったのはGl. mosseae区およびGl. aggregatum区であった.一方, 菌根菌接種個体では菌種にかかわらず, 葉数, 葉面積, クラウン径, 根数, 葉および根の乾物重が無接種個体を上回った.菌根菌感染率および植物体リン酸含量と高温ストレス障害の軽減効果との間に一貫した関連性はみられなかった.