抄録
低温処理後のチューリップの根, 葉, 茎の伸長の制御機構について水分生理学的に解明を行った.定植までに経た低温前歴が短いほど, 定植後の各組織において生長速度が低下した.細胞伸長時の花茎の維管束の分化と発達を観察したところ, 維管束形成には低温前歴の関与が認められなかったため, 各組織の生長速度の差異は細胞伸長速度の低下のみに依存していることが明らかになった.相対生長率と生長に伴った水ポテンシャルを計測すると, すべての処理区において正の相関関係が認められ, 各組織の生長速度の低下に水コンダクタンスの低下が関与していることが示唆された.以上の結果から, チューリップの各組織の生長速度は細胞伸長速度に依存しており, 細胞伸長時には生長に伴った水ポテンシャル勾配が形成され, 水コンダクタンスの大きさによって生長速度が制御されていることが明らかになった.