抄録
水耕栽培における高品質・高糖度トマト生産のために, 生育過程におけるトマト果実の内成分情報を非破壊で検出し, 養液制御に反映させることは, きわめて意義深いものと考えられる.非破壊で内成分を検出できる近赤外法はこれまで多くの作物の品質評価に応用されている.しかし, トマト果実は果肉やゼリー部からなる構造的特性から部分的な成分の不均一さがあり, 近赤外スペクトルに著しく影響する.したがって, 内成分を精度よく測定するためには特別な近赤外装置が必要である.この装置は, 1個のトマト果実に対して3個のハロゲンランプを上方側面から照射し, トマト果実の下方1カ所から近赤外スペクトルを測定することにより, 果実全体の内成分情報を得ることができる.この近赤外スペクトルから可溶性固形成分を測定するためのキャリブレーションモデルを開発することによって, 近赤外装置の特性を検討した.その結果, さまざまな生育段階にあるトマト果実の可溶性固形成分を, 予測値と実測値との相関係数0.91, 標準誤差0.73%, バイアス0.17%で測定することができた.