生物環境調節
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セリ (Oenanthe javanica DC.) のin vitro培養体根組織からの不定胚誘導による増殖
古谷 博細木 高志
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2004 年 42 巻 4 号 p. 315-321

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抄録

セリのin vitro培養体の根組織切片を利用した効率的な種苗増殖体系の確立を目的に試験した.
in vitro培養体を得るため, 頂芽または側芽の茎頂を, 1/2MS (3%ショ糖) にNAA 0.1mg/LとBA 0~0.1mg/L添加またはNAA 0.2mg/LとBA 0.2mg/L添加した寒天培地に置床し, 25℃, 45μmolm-2s-1, 16時間照明下で培養した.次に, 再生植物の根組織切片を, MS培地 (3%ショ糖) に2, 4-D 0.05~1.0mg/LとBA 0~0.1mg/Lを添加した寒天培地に置床して, 25℃, 暗黒条件下で培養すると, カルスが形成した.形成したカルスをフリー培地に移植するとECが誘導され, その後, 不定胚が形成した.不定胚は, フリー培地で継代培養すれば幼根および幼芽は発育し, 完全な再生植物体となった.
根組織切片から得た再生植物の葉柄および根組織切片を外植体に用い, 再度同様の条件下で培養を繰り返せば, 外植体から効率的に再生植物が得られた.この方法は, 従来の株分け繁殖に比べ, 非常に効率的な増殖法である.

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© 日本生物環境工学会
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