生物環境調節
Online ISSN : 2185-1018
Print ISSN : 0582-4087
ISSN-L : 0582-4087
数種動物の遠心加速度に対する耐性の比較
藤原 弘岩根 正昭
著者情報
ジャーナル フリー

1968 年 6 巻 1 号 p. 15-18

詳細
抄録

著者らは, 動物の加速度の耐久限界を求めるため, 被験動物には, イヌ40頭, ウサギ50羽, モルモット60匹, ラット150匹, ハムスター50匹およびカエル8匹を用いた.加速度の種類は, 頭から足の方向に作用する+Gzと, 足から頭の方向に作用する-Gz, および体軸に直角に作用する横軸のGxの3種である.イヌは+10Gx, ウサギ, モルモットおよびラットは+15Gz, -5Gz, 15Gxおよびカエルは+15Gz, -15Gzである.
これらの負荷からそれぞれの動物が全例死亡するまでの時間, 半数例死亡するまでの時間, および全例が生命保続できる安全域時間を検討した.
結果はつぎのとおりである.
(1) イヌに+10Gzを負荷した場合, 100%死亡する時間は8~11分で, 50%生存には3~5分, 安全域は1分以内である.
(2) ウサギに+15Gzを負荷した場合, 100%死亡する時間は7~9分で, 50%生存には5~7分, 安全域は2分以内である.また, -5Gzの場合, 全例死亡10~13分, 50%生存5~7分, 安全域2分以内で, 15Gxの場合は, +Gz, -Gz負荷より延長し, 100%死亡には13~15分, 50%生存には8~11分, 安全域6分以内である.
(3) モルモットに+15Gzを負荷した場合, 100%死亡する時間は17~20分, 50%生存には13~15分, 安全域は2分以内である.-5Gzの場合, 100%死亡20~23分, 50%生存には5~8分, 安全域3分以内で, 15Gxの場合, 100%死亡21~25分, 50%生存には9~11分, 安全域6分以内である.
(4) ラットに+15Gzを負荷した場合, 100%死亡する時間は14~18分, 50%生存9~11分, 安全域は0.5分である.また, -5Gzの場合, 100%死亡15~20分, 50%生存には1~3分, 安全域0.5分で, 15Gxの場合, 100%死亡する時間21~25分, 50%生存する時間13~15分および安全域5.5~6.5分でモルモットとほぼ同様である.
(5) ハムスターに+15Gz, -10Gzおよび15Gxを負荷した場合, ウサギ, モルモット, ラットに比べて耐久時間が著しく延長し, いずれの負荷にも強い.
(6) カエルに+15Gz, -15Gzを負荷しても耐性が高く, 1時間負荷においても全例死亡しない.また, カエルは哺乳類に比べて著しく耐久度が高い.

著者関連情報
© 日本生物環境工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top