生物環境調節
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ビニールハウスの微気象と栽培 (II)
―低温期における温度と照度―
横木 清太郎阿部 恒充亀山 謙治
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1968 年 6 巻 1 号 p. 9-14

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抄録
低温期におけるビニールハウスは, 水平的・垂直的の各位置によって, 温度・日照にかなりの相違がある.水平的には東西棟の南側, 南北棟の西側の温度が高い.東西棟では南北両側とも西点, 南北棟では東西両側とも中点がそれぞれ高温である.そして東西棟は南北棟よりも高温で, 低温期の栽培上かなり有利である.その最高温度・最低温度においても, 東西棟は高温であるが, これは主として南北棟の9時30分と13時30分の温度が低いことによるものである.
垂直的には150cmが低温で, 東西棟の10cmは比較的高温であるが, 他の位置については顕著な傾向が認められない.時刻的には各高度とも12時30分がもっとも高温で, 16時がこれにつぎ, 9時30分がもっとも低い.それで低温期には温度的にみて, 東西棟がすぐれている.そして東西棟・南北棟ともに, 90cm以上に保温上幕を用いるか, トンネルを用いるのが保温上有利である.
水平的・垂直的の照度は東西棟が高いけれども, 各位置の照度較差は南北棟が少なく, 栽培管理上から優れている.東西棟・南北棟ともに, 13時の照度が高いけれども, 16時30分は著しく低い.したがって, 早朝よ
り午後にかけて, +分に陽光を作物に利用する.東西棟では南側, 南北棟では東側が, それぞれ照度が高いので, ハウス内のフレーム・育苗箱の位置に適している.高い位置ほど一般に照度が高いので, ハウスの集約利用のために, スイカ, マクワウリなどの支柱栽培, 鉢物の多段式ベンチ栽培や吊鉢栽培などにも利用する.
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© 日本生物環境工学会
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