生物環境調節
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数種動物における遠心加速度負荷中の心拍数変化
岩根 正昭藤原 弘
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1968 年 6 巻 1 号 p. 19-28

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抄録

健康成熟のラット100匹, ウサギ15羽, モルモット16匹, ハムスター18匹については, +15Gzおよびtransverse15G (Gx) の負荷を10分間ほどこし, ハムスターには-10Gz10分間, イヌには+10Gz10分間, およびラット, ウサギ, モルモットにはそれぞれ-5Gz10分間負荷したときの心拍数変化を検討した.結果はつぎのとおりである.
1) イヌに+10Gz10分間負荷した際の心拍数の変化: G増加にともない7G付近までは心拍数の増加傾向があるが, 以後10Gまでは減少を来たし, 10G滞留中は, さらに減少を来たし, 一過性の増加, その後減少が5分時までみられるが, 以後ゆるやかに減少, 徐脈となって死亡する.
2) ラット生存群における+15Gzにおける心拍数変化: 生存群においては, Gの増加にともなって変化することなく, 心拍数は滞留負荷時にやや減少するが著しい徐脈とはならない.
3) ラット♂死亡群における+15Gzにおける心拍数変化: Gの増加にともないゆるやかに心拍数は増加し, 滞留負荷開始後は, すみやかに徐脈となって死亡する.
4) ハムスターに+15Gzを負荷した際の心拍数の変化: G増加にともない, わずかに心拍数の増加が続くが滞留負荷後は急速に減少を示す.8分時以後一時回復様: 相を示し, ある程度の増加を来たし死亡しない.
5) モルモットに+15Gzを負荷した際の心拍数変化: G増加にともない多少心拍数の増加が見られるが15Gまでは元値と変わらず, 滞留負荷に至って著しく減少後, 死亡する.
6) ウサギに+15Gzを負荷した際の心拍数変化: G増加にともない, 6G付近まで心拍数の増加を来たし, 以後ゆるやかに減少が続き, 滞留負荷中も漸次徐脈になり死亡する.
7) ラット, ウサギ, モルモットに-5Gz, ハムスター, ラットに-10Gzを負荷した際の心拍数変化: -G負荷の場合はG増加にともなってはじめから心拍数の減少が著しく, 滞留負荷中一時動揺するが, 徐脈になって死亡する.
8) ラット, ハムスター, モルモットおよびウサギにtransverse15G (Gx) を負荷t, た際の心拍数の変化: Gの増加にともない多少心拍数の増加が起こるが, 滞留負荷中はラット, ハムスターにおいて徐脈にはならない.モルモットの場合は滞留負荷中に急速の徐脈となって死亡する.ウサギの場合は滞留中に一時増加をともない, その後徐脈に移行する.

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© 日本生物環境工学会
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