抄録
新設の環境制御室 (1) について換気回数および4月の晴天日中における施設全体の熱収支の測定を行なった.
1.人工照明室で温水パンにより人工的に蒸気を発生させ, 湿度の変化を測定したところ, 絶縁充分で定量的な変化がみられた.ガラス室では植物からの蒸散が日射の影響を強くうけ, 湿度は大きく日変化を示した.
2.各室の換気回数をトレーサーガス法 (2) で測定した.自然換気は平均0.9回/時と充分に小さかったが, ファン運転時には外気取入ダクトを閉じた状態でも3回/時で, 圧力差のある場合にはなお気密性は不充分と考えられた.ランプルームと室内との間, 廊下と室内の間で各ファンの運転状態に応じて正逆にかなり空気の流通が見出された..
3.外気の室内湿度に対する影響を調べた.その結果, 室が完全に気密な場合の必要加湿量に対して, 実際に必要な加湿量が数: 十倍にも及んでおり, この種の施設の湿度調節にはさらに厳密な気密性が要求されることを明らかにした.
4.4月23日の9.00~14.30に一次冷水温度 (入口・出口) , 二次冷水温度 (入口・出口) , 流量, 空気調和器の冷水温度 (入口・出口) , 日射量, 各室および外気の温・湿度, 所要電力量, 燃料消費量その他を測定し, 全装置の熱収支を試算した.その結果からファンの発熱36%が比較的大きいこと, ポンプの発熱8%, 伝熱ロス5%などを一層低減し改善しうることが考えられた.