生物環境調節
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炭酸ガス自動制御測定装置について
立道 美朗
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1970 年 8 巻 1 号 p. 25-29

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抄録
新設されたファイトトロンの付属設備として設置された炭酸ガス濃度自動制御記録装置を用いて, 炭酸ガス濃度制御特性を検討した.
本装置の制御方式はつぎのとおりである (Fig.1参照) .
(1) チャンバー (90×90×120cm3) または生育室全体のCO2濃度が0から3, 000ppmの任意の濃度で制御でき, 同時にCO2吸収および放出量を記録する.
(2) 光中では, チャンバーまたは室の濃度を制御するのに最適な任意の濃度のCO2強化空気をオン・オフ動作でガスホルダーに貯えて, 制御装置を通してチャンバーに流す.
(3) チャンバーまたは室内のCO2濃度はCO2分析結果にもとついて, 流量制御弁のPID (比例, 積分, 微分) 動作により制御する.
(4) 暗中では, CO2増加に対してモレキュラーシーブ管を通した脱炭酸空気を流して制御する.
(5) 自然光中では, 光中から暗中への切り換え, またはその逆の動作は, チャンバーまたは室のCO2分析計からの信号で自動的に行なわれる.
本装置を用いて, タバコ個体群のCO2吸収に及ぼす入口CO2濃度の影響を測定した.しかし, CO2吸収量は入口CO2濃度によって影響をうけなかった (Table 1) .
また, チャンバー内CO2濃度の植物体によるCO2吸収に及ぼす影響を検討した.CO2飽和濃度は人工光0.75cal・cm-2・min-1で, ほぼ1, 200ppmであった.
CO2交換量の目変化測定結果から, 光合成-光曲線を求めた.チャンバー内タバコ個体は, ほぼ0.75cal・cm-2・min-1程度で飽和することが観察された.
最後に, 本装置の作製にあたって御指導下さった秦野たばこ試験場増田頴二場長, 小倉祐幸博士および製作を担当された富士電機製造の方々, ならびに御協力下さった秦野たばこ試験場環境制御室の方々に謝意を表する.
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© 日本生物環境工学会
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