生物環境調節
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農業用透明プラスチックフィルムの分光透過性
稲田 勝美
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1971 年 8 巻 2 号 p. 111-118

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抄録

市販の農業用透明プラスチックフィルムの分光透過性を紫外, 可視および赤外の各部にわたって測定した.
プラスチック材料の異なるフィルム間では, 可視部透過率に大差はないが, 紫外部および赤外部透過率に明らかな差が認められた.300nm以上の紫外線透過率はノイファン, ダイスカイおよびサクビとビニルの一部で低いが, その他のフィルムでは十分に高かった.赤外部ことに厳寒期の保温効果に関係のある7~15μの透過率はポリエチレンで最も高く, ビニルで最も低く, サクビがその中間であった.
フィルムの材質が同じ場合, 銘柄の差や使用中の汚染による透過性の変化は短波長ほど大きく, 赤外部ではごくわずかであった.この理由は本質的には添加剤による吸収ならびにフィルム内外の粒子による光散乱の波長依存性によるが, 分光光度計の散乱光受光特性とも関係があることを考察した.
おわりに, フィルム試料を提供された東京大学農学部高橋和彦氏および埼玉県園芸試験場上浜龍雄氏に厚く感謝いたします.

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