生物環境調節
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高性能グロースキャビネットの試作
I.設計製作とその性能
松井 健江口 弘美花見 至晃半田 繁寺島 禎二郎
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1971 年 9 巻 1-2 号 p. 37-46

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抄録

生物環境調節の基礎的な研究をおこなうには, 環境要素の精密な制御と生物反応の詳細な解析が必要と考えられる.本研究は, 環境制御方法の発達に資するために, より高度の制御能力をもつグロースキャビネットの設計と試作をおこない, その性能を解析して次の結果を得た.
1) 温度制御は-5℃から+40℃の範囲で可能であり, 精度は±0.5℃以内であった.プログラムコントロールの場合, 温度勾配, 10℃/30minに十分追従できた.またP.I.D.動作によってoff-setは十分に除去された.
2) 相対湿度は40~80%の範囲 (温度10~40℃) で制御され, 制御精度は±3%以内であった.プログラムコントロールの場合, 湿度勾配, 10%/15minに追従することができた.
3) 16個の小型ファンを用いることにより, 風速, 風速分布, 風向をほぼ均一に保つことができ, 定常状態での風速分布は, 0.2~0.5m/secの範囲にあった.
4) 人工照明は45個の40W螢光灯 (真天然純正色) と8個の100Wタングステンランプによったが, 床面上50cmの位置で, 20, 0001ux (110μW/mm2) の光強度を得ることができた.しかし, この光のスペクトル分布が, 植物実験に適しているか否かは, 今後の実験の課題として残されている.

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© 日本生物環境工学会
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