2010 年 13 巻 1 号 p. 1-7
・北海道の群別川において,底生無脊椎動物の生息場所選択性について,水理学的視点での新たなスケール区分を用いた調査・解析を行った.
・調査箇所を,目視により,射流部,常流部,跳水部のいずれかに判別し,それぞれの部分に存在する礫に付着する底生無脊椎動物の個体数,流速及び礫の表面の形状を測定・記録した.
・40%以上の礫で確認できた8種について解析したところ,6種の個体数は水理学的な流れ区分の変数と関係があり,4種の個体数は流速と関係があった.
・多くの種の個体数は礫表面の環境条件よりも水理学流れ区分を用いた方がより良く説明された.
・以上の結果から,水理学的な流れ区分スケールは底生無脊椎動物の生息場所選択性の把握に有用であることが示された.