抄録
写真利用による巣穴調査および底生動物調査から, 次のことが判明した. 写真による巣穴から潜孔性の底生動物定量化は, 簡易に総個体数の分布が推定できる有効な方法である. 曽根干潟では写真利用による巣穴を形成する底生動物は, 個体数で約50%程度が把握でき, そのうち潜孔性エビ・カニ類は全体の約8%であったが有機物量に換算すると16%を占める. これを粘土・シルト含有量が50%以上の泥質干潟に限ると潜孔性エビ・カニ類は有機物量で約48%となり, 泥質干潟の底生生物量を把握する上で有効な方法であることが分かった. 直径15mm以上または20mm以上の穴数からヤマトオサガニの生息数および分布域が推定できる.