応用生態工学
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短報
浅い湖沼における滞留時間と栄養塩濃度が湖内での COD 生産に与える影響
神谷 宏大城 等嵯峨 友樹佐藤 紗知子野尻 由香里岸 真司藤原 敦夫神門 利之管原 庄吾井上 徹教山室 真澄
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2015 年 17 巻 2 号 p. 79-88

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抄録
 日本の浅い 9 湖沼において滞留時間が内部生産に与える影響について解析を行った.クロロフィルa濃度と COD 濃度との分布から得られた回帰式を用い,クロロフィルa濃度が検出限界未満になるときの COD 濃度の値を外部負荷 COD とした.そして,外部負荷 COD から COD 濃度から引いたものを内部生産 COD(ΔCOD)と定義した.
その結果,単位全リン(TP)あたりのΔCOD(ΔCOD/TP)と滞留時間とは,
ΔCOD/TP
=36.0 log(滞留時間(day))-23.5(R2=0.78, p<0.001)
で表された.ただし,直近のデータを用いた霞ヶ浦についてはこの式からはずれた.その原因として,霞ヶ浦では濁度の増加によりΔCOD/TP 自体が減少していた.単位全窒素(TN)あたりのΔCOD(ΔCOD/TN)と滞留時間との関係は TP に比べて相関係数は低かった(R2=0.45).以上より,浅い湖沼において,内部生産 COD は滞留時間と TP 濃度との影響を受けていることが明らかとなった.
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© 2015 応用生態工学会
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