川づくり計画策定時に意見を聴くべき対象として,川の将来を支える子どもに意識が払われている事例は少なく,また意見聴取の有効性等に関する研究は見られない.本研究は,子どもが描いた「川の将来像」に関する絵を用いた意見聴取方法に着目して事例分析を行い,子どもへの意見聴取の有効性,また描画による意見聴取の有効性及び課題を明らかにすることを目的とした.東京都杉並区・善福寺川流域にある井荻小学校の子どもが描いた,源流部水路の将来像の絵を用いて,描画内容の読み取り及び分析を行った.その結果,子どもの意見には治水等に関する視点に欠けるものの,日常的な川の利用について様々なニーズを持っており,描画により河川空間に望まれる機能や空間構成要素等,川の空間設計コンセプトにつながる有効な意見を表現できることが分かった.また,描画は子どもにとって自分の内にある思いやイメージを考え,表現する行為であり,描写技法の未熟さを考慮する必要があるものの,川に対する思いや川と自分たち・まちとの関わり方等に関する意見を聴取する手法として適していることが示唆された.