応用生態工学
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事例研究
ノウルシの分布把握と分布に影響を与えると予測される環境要因の調査における UAV の有効性
丹羽  英之谷口 直哉
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キーワード: UAV, 河川, 春植物, 攪乱, 保全
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2018 年 20 巻 2 号 p. 195-203

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抄録

ノウルシは増水により攪乱される立地に生育する植物で準絶滅危惧種である.地上部が見られるのが 3 ~6 月であり,生育していることを知られないまま人為改変により生育地が消失している可能性がある.本研究では,UAV を用いることで,地上部が見られる期間が限られるノウルシの分布と,分布に影響を与えると予測される環境要因を効率的に把握することを試みた.複数時期の撮影画像から,ノウルシの判読適期が 4 月中旬であること,画像判読だけで 82.8%のノウルシのパッチが判読できることを示し,本梅川におけるノウルシの分布を明らかにした.また,年最大水位直後に撮影した画像から年最大水位の痕跡を判読するとともに,11 時期の撮影画像の判読によりノウルシ生育箇所の草刈りの範囲と時期を把握した.多年生植物であるノウルシと環境要因の分析には経年的なデータ取得が必要であるが,継続的に調査できる方法を提示することができた。

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© 2018 応用生態工学会
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