日本航空宇宙学会誌
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特集 機体騒音研究とFQUROHプロジェクト 第3回
飛翔の主脚低騒音化
高石 武久
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2020 年 68 巻 2 号 p. 43-49

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抄録

エンジン推力が絞られる着陸進入時において,脚から発生する空力音は,主要な航空機騒音源の一つである.FQUROHプロジェクトでは,JAXA実験用航空機「飛翔」を用いて,主脚から発生する音の低減を試み,その飛行実証に取り組んできた.2016年の1回目の飛行実証試験で得られた,人間の聴覚を考慮したA特性音圧レベルで0.8~0.9 dB(A)を上回る騒音低減をめざして改良を行った結果,主脚収納部上流へのディフレクタの装着,主脚扉内面への多孔質材の貼付,主脚の車間多孔板の孔径縮小,タイヤホイール穴塞ぎといった対策を組み合わせることで,事前の風洞試験において4.5 dB(A)の騒音低減を見込むことができた.2017年に2回目の飛行実証試験を実施した結果,直上通過時の主脚付近からのA特性音圧レベルで4.2~4.4 dB(A),主脚単体のEPNL(実効感覚騒音レベル)評価で4.0~4.8 EPNdBの騒音低減効果を達成することに成功した.

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© 2020 一般社団法人 日本航空宇宙学会
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