応用生態工学
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観測所水位データから平常時水位の縦断形を推定する~庄内川を事例として~
宮脇 成生永山 滋也加藤 康充伊藤 英恵萱場 祐一
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2018 年 21 巻 1 号 p. 53-60

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抄録

これまで,治水上の必要性から,河川の高水時の水位については水理学的検討が多くなされている.一方,冠水頻度といった河道内氾濫原環境の特性を理解する上で重要となる,河川の平常時の水位の縦断形を推定する手法については十分検討されていない.本研究では,水位観測所における既存水位データを活用した平常時水位の簡易な推定手法を開発し,庄内川の実測データを用いて推定精度の検証を行うことを目的とした. 開発した推定手法では,まず定期横断測量データから河床高に相当する「基準高」を生成する.そして,水位縦断形を基準高と水位観測所の水位データを使って生成する. 庄内川のセグメント M,1,2-1,2-2 を対象に,開発した推定手法に加え,線形補間,等流解析による平常時水位の推定を行い,実測された水位データに照らして推定精度を比較した.その結果,開発した手法は線形補間よりもすべてのセグメント区間で高い精度を示した.また,開発した手法は,定期横断測量データを入力条件とする等流解析と比べて,セグメント 2-1,2-2 において高い推定精度を示し,セグメント 1 および M では同程度の精度であった。

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© 2018 応用生態工学会
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