2020 年 23 巻 1 号 p. 59-68
本研究は,外来沈水植物オオカナダモの環境 DNA 分析を,広島県の太田川およびその支川の三篠川,根谷川で調査時期を変え 4 回の調査を行い,調査回および採水地点別の環境 DNA 検出状況を比較し,河川におけるオオカナダモ環境 DNA 分析での適用について検討した.採水は,調査範囲とした太田川 10.0 km ~18.0 km 区間,三篠川 0.0 km ~16.0 km 区間,根谷川 0.0 km ~ 4.0 km 区間の 2 km 毎の計 16 地点で行い,調査回数は,2016 年 8 月 16 日 ~17 日,2017 年 5 月 15 日 ~16 日,2017 年 8 月 17 日~18 日,2018 年 2 月 13 日~14 日の計 4 回とした.オオカナダモの環境 DNA 検出は,本種の種特異的なプライマー・プローブを用いたリアルタイムPCR により実施した.調査回および採水地点別でのオオカナダモ環境 DNA を分析したところ,本種の生育株が採水地点周辺に確認できたサンプルのみならず,生育確認のなかった地点周辺でも環境 DNA は検出された.よって,採水地点周辺のみならず,上流側より供給された環境 DNA も検出したものと推測された.また,調査回別での環境 DNA 量を比較したところ,オオカナダモの生物量が多いと考えられる生長・分枝期の春季や夏季のみならず,生物量が少ない冬季においても量的に春季や夏季と同等以上の環境 DNA が河川水に含まれることが示された.以上より,本研究でのオオカナダモ環境 DNA 分析結果より,本種の河川での環境 DNA 量と生物量について正の相関関係は示されなかったものの,上流に存在する環境 DNA 供給源は,その存在を季節に関係なく検出でき,分析結果はオオカナダモ駆除計画等の基礎資料として有用であるものと考えられた.