応用生態工学
Online ISSN : 1882-5974
Print ISSN : 1344-3755
ISSN-L : 1344-3755
短報
水田への魚類の遡上を促す遡上板の開発
皆川 明子若宮 慎二竹下 邦明佐川 志朗河口 洋一村瀬 潤都築 隆禎深澤 洋二江崎 保男
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 23 巻 1 号 p. 79-84

詳細
抄録

水田の水尻には湛水深の調節のために堰板が設置される.降雨等により,この堰板から越流が生じた場合に魚類が水田に遡上することができるが,堰板からの越流水が少ない場合などに魚類の遡上が阻まれる可能性がある.そのため,堰板に被せて遡上を促す遡上板を 4 タイプ(フラット型,V 字断面型,導流壁 5 mm 型,導流壁 20 mm 型)作製し,供試魚としてフナ属,タモロコ,ドジョウ,メダカ属を用いて遡上実験を行った.実験の結果,導流壁 20 mm 型の遡上板で最も魚類の遡上回数が多く,いずれのタイプでも遡上が認められなかったメダカ属を除く 3 種合計で 374 回の遡上が確認された.また,導流壁 20 mm 型の遡上板では,小型の個体は導流壁の内側,大型の個体は導流壁の中央部を遡上する状況が確認された.以上の結果から,導流壁20 mm 型の遡上板が最も効果的と考えられる.

著者関連情報
© 2020 応用生態工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top