沖縄本島でマングローブ林が成立しているとされている河川を視察し,現存するマングローブ林の面積が比較的大きい 4 河川(億首川,大浦川,慶佐次川,湧川)を調査対象とした.LARS で取得可能な情報をもとに,定量的な評価が可能な簡便で汎用性のある評価方法を検討した.可視光オルソモザイク画像と画像分類を用いた植生分類と植生指数を用いたマングローブの衰退度評価を組み合わせた方法とした.教師付オブジェクトベース画像分類により植生分類を得ることができた.4 河川において,分類クラスごとの面積を集計した結果,各クラスの面積比率は河川間で異なっていた.オブジェクトベース画像分類で得られたポリゴンのうちギャップに分類されたポリゴンの面積のヒストグラムを 4 河川で比較した結果,億首川だけ頻度分布が異なっていた.オヒルギと分類されたポリゴン内のNDVI の平均値は,億首川で 0.5 以下のポリゴンが多い傾向があった.億首川は林縁からの距離が近いほど NDVI の低いポリゴンが増加する,林縁からの距離が遠くなると NDVI の最大値が減少する傾向がみられた.林縁からの距離が近い場所で NDVI が低いポリゴンが多くなる傾向やパッチ内部における NDVI の低下は,マングローブ林の衰退度を評価する指標として利用できることが示唆された.4 河川の比較から,それぞれの河川のマングローブ林の特徴が把握でき,特に,億首川のマングローブ林は相対的に衰退が進んでいることを LARS による単年データで明らかにすることができた.