応用生態工学
Online ISSN : 1882-5974
Print ISSN : 1344-3755
ISSN-L : 1344-3755
事例研究
水田小排水路における水路構造が水生生物に及ぼす影響
松井 明佐藤 政良
著者情報
ジャーナル フリー

2006 年 9 巻 2 号 p. 191-201

詳細
抄録
本研究は, 茨城県下館市の水田地区のなかで, 1年中流水がある小排水路を取り上げ, 土水路およびコンクリート水路の2地点 (同一水路内) において, 2002年4月から2003年3月の間, 毎月1回定期的に水生生物の採捕調査を実施した結果, 以下のことを明らかにした.
1. 水田小排水路に生息する水生生物の採捕量 (個体数および種類数) は, 全般に土水路がコンクリート水路と比較して大きい傾向を示した.
2. 魚類に関しては, 2地点ともドジョウが最も多く採捕された. 水生昆虫に関しては, 2地点ともシオカラトンボ (幼虫) が最も多く採捕された.
3. ドジョウの生息にとって, 河床材料が泥であることが重要であり, 側壁材料の影響は比較的小さいと推定された.
4. シオカラトンボの生息にとって, 河床材料の粒径組成が関与している可能性が考えられた.
5. 今後の生物保全に配慮した水田小排水路の整備は, できる限り土水路を維持することが重要である.
著者関連情報
© 2006 応用生態工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top