抄録
本研究は, 茨城県下館市の水田地区のなかで, 1年中流水がある小排水路を取り上げ, 土水路およびコンクリート水路の2地点 (同一水路内) において, 2002年4月から2003年3月の間, 毎月1回定期的に水生生物の採捕調査を実施した結果, 以下のことを明らかにした.
1. 水田小排水路に生息する水生生物の採捕量 (個体数および種類数) は, 全般に土水路がコンクリート水路と比較して大きい傾向を示した.
2. 魚類に関しては, 2地点ともドジョウが最も多く採捕された. 水生昆虫に関しては, 2地点ともシオカラトンボ (幼虫) が最も多く採捕された.
3. ドジョウの生息にとって, 河床材料が泥であることが重要であり, 側壁材料の影響は比較的小さいと推定された.
4. シオカラトンボの生息にとって, 河床材料の粒径組成が関与している可能性が考えられた.
5. 今後の生物保全に配慮した水田小排水路の整備は, できる限り土水路を維持することが重要である.