応用生態工学
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群馬県押野川における落差工の多自然型魚道への改善とヤマメOncorhynchus masouの放流実験
多胡 治織田沢 勲林 不二雄
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2000 年 3 巻 1 号 p. 131-136

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抄録
大きな高低差のある落差工は,魚類が遡上できないなどの問題を生じる.今回,魚が遡上出来る機能を確保しつつ,自然石を使用して,落差工を周囲の景観に調和した多自然型魚道に改善した.改善にあたって,自然石の固定方法には旧落差工コンクリート河床部分には鉄筋,普通の流路部(土砂河床)では木杭を用い,自然石の流出防止を図った.魚道の工事中には,構想に合致した水流となるようチェックを行い自然石の配置を修正し,魚類および底生動物などの生息環境が多様になるよう置石などを配置した.
改善後,これらの成果を判定するためヤマメによる遡上実験を行った結果52.2%の遡上が認められ,魚道がヤマメの遡上に妨害とならないと判断された.したがって,今後,川づくりを進める上で多自然型魚道のモデルケースの一つとなると考えられる.
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