応用生態工学
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浦山ダム下流に投入した土砂がウグイの産卵にもたらす効果について
ダム下流河川における土砂投入の効果
梶野 健浅見 和弘中嶌 一彦杉尾 俊治林 貞行高橋 陽一
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2003 年 6 巻 1 号 p. 51-58

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抄録
浦山ダムの下流河川で,河床構成材料の粗粒化および生物の生息・生育環境の悪化を防止するため,貯水池上流端に堆積した土砂を堤体下流に投入する「土砂投入」を実施した.
土砂投入の生物に対する効果を検証するため,ウグイの産卵場を調査対象とし,ウグイが投入土砂を産卵場として利用するか,投入土砂にトレーサーとして糖晶質石灰岩を混入させ,調査した.
現地調査の結果,トレーサーの混入した河床でウグイの産卵が確認され,投入土砂が産卵場として利用されたことが証明された.
投入土砂以外でも産卵が確認されたが,自然の状態で産卵が確認されたのは1箇所のみであった.
確認された産卵場の状況から,洗い砂利の存在する平瀬の維持が,ウグイの産卵場の保全につながると考えられたが,浦山ダム下流は土砂の供給がないため,産卵場を維持するためには,今回実施したような土砂投入が有効な対策と考えられた.
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