教育社会学研究
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論稿
授業秩序はどのように組織されるのか
―児童間の発話管理に着目して―
松浦 加奈子
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2015 年 96 巻 p. 219-239

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抄録
 本稿の目的は,授業秩序がどのように組織されるのかということを教師による児童間の発話管理という観点から明らかにすることである。本稿ではこれらの目的に対して,授業場面の教師-児童間の実際の活動を記録した映像データを用いて会話分析を行っていく。
 本稿は授業秩序を維持するための教師の振る舞いに着目している点において,教師ストラテジー研究と問題関心を共有している。しかし教師ストラテジー研究では想定されてこなかった1対1と1対多のディメンジョンの並存状況を検討している。そして,会話分析を用いて,そこで生じている相互行為の特徴を再記述することで学級の成員が協調して振舞うようになる規則を理解可能な形で見出していく。
 分析の中心となるのは,児童の発話に教師が応答することで,児童によって日常会話の順番交替の規則が志向され,授業における課題の組織化が困難になる場面である。その結果,授業進行が停滞し,授業の秩序が動揺していくことになる。それを克服するために,授業場面に適切な「形式」で応答できる者を次の話者として選択し,質問を開始することで,IRE 連鎖を3ターンで完了させ,授業秩序を組織していくのである。
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© 2015 日本教育社会学会
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