抄録
有機農業を営む農業者の視点では,下水汚泥を「汚物」ではなく貴重な資源と捉えている。輸入資源に頼る日本の物質循環を正すには汚泥の農業利用が不可欠だが,行政の縦割りや「部分最適」が壁となり,現場の需給は乖離したままだ。私はこの停滞を打破するため,公共投資に頼らない低コストな共同堆肥舎を実践し,有志と共に情報発信サイトを立ち上げた。排出側の「処理」に任せるのではなく,受益者である農業者が主体的に関わるべきだ。この泥臭い難題への挑戦こそが,日本の社会システムが再生できるかの試金石になると確信している。