2022 年 51 巻 2 号 p. 7-13
この半世紀の間に,世界は環境政策の制度化と並行して,ジェンダーの主流化に取り組んだ。世界では,いかにしてジェンダーの主流化が起きたのか。それは環境取組とどう連動しているのか。逆に,ジェンダー主流化の前に環境政策の制度化が進んだ日本で,その後ジェンダー主流化が遅れていることは,その後の環境政策の決定や実施にどのような影響を及ぼしているのだろうか。本稿ではジェンダー主流化をめぐる国際的な流れと,その中で日本の位置付けを考察した。複数の事例の考察から,ジェンダーフリーと環境パフォーマンスには,強い関連性があり,命を世話する術があるからこそのリスク感覚や生活感覚の違いが反映されるか否かが,環境政策の積極性と消極性に影響を及ぼしている様相が浮かび上がった。