気候変動による極端事象が引き起こす災害,人口減少による社会資本ストックの維持管理が課題となっている現在,自然に根ざした社会課題の解決策としてグリーンインフラが注目されている。グレーインフラと比較して,多機能性や時間とともに増強される機能性,さらに多様な主体の参画による維持管理コストの低さなどがグリーンインフラの特徴である。一方,災害に対する不確実性を抱えた安全性の漸減性や,多様な管理主体間の連携の難しさなど,解決すべき課題もある。グリーンインフラは比較的新しい概念とされるが,総合的土地利用計画により実践されていた伝統知と呼ばれる事例も多い。多様な主体が合意できる未来の社会像を提示することが重要であろう。