環境情報科学
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Print ISSN : 0389-6633
特集:環境 NGO/NPO の役割
自然保護とNGO
日本野鳥の会の活動と果たしてきた役割
遠藤 孝一安西 英明
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2023 年 52 巻 1 号 p. 36-41

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抄録

日本野鳥の会は,全国に約5 万人の支援者をもち,日本で最も長い歴史を有している自然保護系のNGO である。本稿では,日本野鳥の会が,いかなる足跡をたどり,どのように活動を展開してきたかを素描し,今後に向けて環境NGO として果たすべき役割と課題を考察する。「鳥の科学と芸術の融合」を目指して創設された日本野鳥の会は,自然保護そのものに加え,自然観察や保護の普及活動,自然系施設の運営活動,ファンドレイジング活動,収益活動などを多角的に進め,公益財団法人化することにより運営を安定化させてきた。加えて,サンクチュアリ運動の展開や独自の野鳥保護区の拡大,また自然エネルギー導入に伴う問題にも対応するなどして,ビジョンを洗練させてきた。 環境問題が多様化し深刻化する今日,政治的利害に翻弄されることなくビジョンや理念を追求できるNGO の役割は,ますます重要性を増している。そのためにも,日本野鳥の会の歴史を継承しつつ,独自の活動財源を確保し,ビジョンや実践力を磨き,構成員のモチベーションを維持していくことが今後の課題である。

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