脱炭素化に向け再生可能エネルギーの導入は世界的に促進されている。しかし,風力発電事業においてはステークホルダーからの反対により合意形成が難航する傾向がある。こうした背景から,風力発電が地域社会に役立つ形で導入することはできないかという議論が風力発電業界では広まりつつあり,社会的受容という考え方が注目されるようになってきている。本稿では,風力発電の社会的受容の概要を解説した上で,筆者らが行った風力発電所の近隣住民を対象とする社会調査について紹介する。また,風力発電をはじめ再生可能エネルギーの大規模導入に向けて今後重要となる住民との合意形成と事業のあり方について展望する。