抄録
中山間地域では,1990 年代から所有はするものの,その利用・管理をしない状態,すなわち,所有権の空洞化が顕在化するようになった。その後の中山間地域を牽引してきた昭和一桁世代の人口が高齢化により減少し始めると,土地所有権の多くは域外に流出し,これらの土地は利用したくても利用できない土地へと変容しつつある。高知県大豊町での集落調査によれば,相続未登記の筆数と土地面積の比率は,町の平均的な集落である A 集落では 40.1%と 43.3%,限界集落に区分される B 集落では 69.0%と62.5%に及んでいた。近年になって,この対策として制度改正が相次いでいる。しかし,問題の根本的な解決は容易ではなく,移住者の比率の高まりにより土地所有権の空洞化問題は新たな局面を迎えている。