抄録
日本の国土の約 2/3 を占める森林,林地は,さまざまな機能を有しているものの,所有者や境界の不明,管理不足など数多くの問題を抱えている。本稿では,土地問題における林地の特徴と課題を整理するとともに,森林所有者不明問題に関わる近年の施策の背景,成果について説明し,残された課題を提示する。林地台帳制度,森林経営管理制度,森林環境譲与税の創設は,森林情報や森林所有者情報を整備するきっかけや基盤を作った点は評価できるものの,市町村森林行政の人員不足に伴う情報管理・更新の課題や所有者探索の停滞などの課題が残っている。市町村森林行政の体制を補完し,所有者不明森林への対応の実効性を高めるためにも,方針の再確認,優先順位づけを行うとともに,専門技術やノウハウをもつ外部主体との連携および役割分担が重要であることを提起した。