抄録
本稿では,世界と日本におけるこれまでに観測された気候変動と物理法則に基づいた気候モデルによる将来予測を概説する。近年,極端な高温が発生しており,イベント・アトリビューション(EA)手法により地球温暖化の寄与が科学的に示されている。また,気温上昇がある閾値(ティッピング・ポイント)を超えると,不可逆的な変化を引き起こすティッピング・エレメントの存在が明らかになり,緩和策の重要性が再認識されている。将来気候予測においては,人間社会・生態系へ影響を及ぼす気候影響駆動要因(CID)の予測が重視されてきている。日本や地域ごとの将来気候予測は「日本の気候変動2025」に詳細にまとめられおり,各種政策の判断材料として重要な情報源となる。